【寄稿】韓国カワウソ研究センター見学記


韓国・ソウル在住の日本人で、環境保護活動をしている小牧夕夏さんが韓国カワウソ研究センターの見学記を寄せてくださいました。韓国カワウソ研究センターの現在(環境教育の充実)を伝えます。


小牧夕夏

 私は普段韓国で環境保護活動を行っております。
 韓国カワウソ研究センターに訪問することになったきっかけは、日本にいるとき知り合いの方から韓国でカワウソの研究が盛んだと教えていただいたことです。環境保護をするにあたって、一度見たいと思い訪問しました。

 韓国カワウソ研究センターにやってきました。

場所は江原道華川郡の街からも離れた山奥にある、とても自然豊かな場所にあります。北朝鮮からもかなり近い場所です。

 韓国カワウソ研究センターの主な役割はユーラシアカワウソの保護と研究です。
 施設にはユーラシアカワウソが現在(2021年5月)25匹保護されています。このカワウソたちは事故に遭ったり、親と逸れたりしたカワウソが韓国全国から集められて治療しています。元気になったら自然に還し、自然に還すのが難しいカワウソは動物園に行きます。もちろん施設で生まれたカワウソもいます。彼らもまた動物園に行きます。カワウソの保護は韓国カワウソ研究センターをはじめ様々な民間団体と協力して活動を行なっています。

 施設の入り口に入ると大きなカワウソの剥製があります。

この剥製は実際に施設で生きていたカワウソで、剥製専門家に剥製を作ってもらったそうです。保護動物なので簡単に剥製にはできないため、資格を持った人が作成しました。

 ちらほら写真に写っている置物は、剥製の奥や入り口など施設のあちらこちらにで迎えてくれます。

実は2019年の光州(全羅州)で水泳大会のキャラクターですが、カワウソのキャラクターであったこともあり、再利用のためもらったそうです。

 スロープの方に進むとカワウソについての掲示があります。

(訳)人間が直接与える影響として野生動物が死ぬ理由で一番多いのがロードキル、すなわち交通事故である

(訳)河川に不法で設置された漁具。漁網とその漁具のため犠牲になったカワウソ達・・・※カワウソ達が魚が入っている漁具の中に入ると、そのせいで出られず結局溺死してしまう

(訳)過去に思いのまま行われた狩ため犠牲になったカワウソの家族 ※現在もこのような不法な罠や狩のため犠牲になるカワウソがしばしば現れる

(訳)空気銃のため死亡したカワウソの頭に 銃弾刺激がある。それとまだ発見される足くくり罠

 このように人が利益を得るために皮製品を作ったり狩りをしたりして韓国のカワウソの数が減ってしまいました。今は保護を行なっているため昔に比べて数は増えました。(ただし昔に研究を行っていなかったためデータとしての証拠はない)


 ただいま治療中のカワウソは5匹います。

こちらのカワウソは皮膚病を持っているカワウソです。一度は動物園に行ったものの病気がちのためまた施設に戻って治療をしています。そのためかちょっと性格が内気です。

 この部屋には4匹います。

こちらは赤ちゃんの時にお母さんと逸れてしまったカワウソ。

 こちらのカワウソは赤ちゃんの時にお母さんと逸れ保護されたため、とても人懐っこいです。子供とは言えどもこれぐらいの大きさでも力は結構強いです。
今は外に場所がないため順番待ちをしています。

 

 3匹のカワウソはある程度大きくなった状態で保護されました。
 台風の季節になると洪水が増えるため移動している過程で親子が逸れてしまいます。そんな逸れてしまったカワウソを保護しています。


 外に出ると各エリアに合計20匹のカワウソがいます。
1つのエリアに雄と雌が1匹ずついます。施設内で生まれることもあるため、エリアによっては家族の場所もあります。なるべく自然と近い状態で保護されています。

 雄のヒョンビンと雌のジュディーがいるコーナーです。雄のヒョンビンはセンター生まれました。雄の中では一番大きいです。雌のジュディーは慶北道の尚州市で保護されて来ました。


 うさぎは近くのうさぎ小屋で飼えなくなって、今は施設内に野放しにされています。

実は施設内にはうさぎと鳥もいます。

 鳥もいます。もともと2匹いましたが掃除中に1匹逃げて1匹になったそうです。カワウソの保護だけではなく他の動物もいるところがとても微笑ましい光景でした。韓国カワウソ研究センターに車で行くときは近くにうさぎが出てくる場合があるので注意してください。


 泳いでいるカワウソを発見しました。泳いでいる姿や食べてる姿など、いろんなカワウソの姿を近くで見られるのがこの韓国カワウソ研究センターの魅力でもあります。

 カワウソはやはり人が見に行くとみんなすぐ近づいてきます。とても可愛い光景でした。

こちらは4人家族。家族みんなでお出迎えしてくれました。

 子供はもうそろそろ別の場所に行く時期が近づいています。
 私は動物園で少しカワウソを見たことがあるだけで、このようにまじまじと近くで見たことなくとても貴重な体験でした。


 館内に戻って、大きな水槽を見つけました。

カワウソの餌としてなまずを飼っています。

ドジョウも飼っています。

 カワウソが25匹もいるので餌の管理も重要になります。


 最後に韓国カワウソ研究センターのハン・ソンヨン センター長とお写真を撮らせていただきました。

※左が小牧夕夏さん

 私は韓国カワウソ研究センターに訪問後にも様々な環境保護活動を韓国で行っていますが、ここ最近の環境保護に関心が高まっているのもありカワウソ保護が一般市民にもより一層広がっていることを実感しました。大邱広域市、慶南道の晋州市のキャラクターにカワウソが起用されていたり、大型スーパーのエコバックにカワウソの絵が描かれていたり、また世界カワウソデー(5月の第4水曜日)の日にカワウソネットワークが発足したりと市民も積極的にカワウソ保護を行っています。今や韓国の環境保護にカワウソなしでは語れないぐらいカワウソ保護は認知度が上がっています。日本の方々が韓国に行きそして韓国の方々が国内で一生懸命活動している流れを実際に体験して、みんなの熱い思いが海を渡ってタスキのように受け継がれていることがとても感動しました。

韓国カワウソ研究センターへの行き方
【ソウル市から行く場合】
■電車の場合

所要時間:約2時間30分)
 ❶龍山駅でITX-青春に乗車→春川駅下車
 ❷春川駅からタクシー
  韓国カワウソ研究センター(約55分)

バスの場合
(所要時間:約2時間30分)
 ❶高速バスターミナル駅から
  春川行きに乗車(約1時間30分)
 ❷春川高速バスターミナルからタクシー
  韓国カワウソ研究センター(約55分)

※1 春川市内から韓国カワウソ研究センター付近までのバスはありますが、複雑であるため掲載しませんでした。 
※2 可能であれば、車で行くことをお勧めします。