追悼 ―山村辰美会長に寄せて

ヤマネコを愛し、佐護を愛し、対馬を愛したヤマネコを守る会の会長、
山村辰美さんが令和6年7月5日に逝去されました。
カワウソ研究会と山村さんとの出会いは2017年。
佐護川で撮影したカワウソと、山村さんが発見したカワウソらしい足跡の確認をしてほしいという連絡からでした。その頃、琉球大学設置の定点カメラにカワウソが写っていたと報道されましたが、それと同時期にカワウソ研究会に情報提供していただきました。
それからは対馬の佐護を訪れた時は必ずお会いして、時には調査もご一緒させていただきました。
対馬におけるカワウソの情報を随時提供していただき、現在のカワウソ研究会の調査の基になっています。
山村さんは最期まで「ツシマヤマネコを守る会」の会長を務められ、精力的にヤマネコの保護に携わり佐護の自然を守ってこられました。
対馬には現在約100頭のヤマネコが生息しているといわれています。他の過疎地と同じように、人口の減少とともに山林が荒廃しイノシシやシカが過剰に繁殖し、対馬の独特な動植物が失われています。そのなかで少ないながらもヤマネコの生息数が維持されているのは山村さんの無私無欲の活動が少なからず関係していると思われます。
カワウソに関しても、戦後からのカワウソの目撃例などの聞き取り調査して対馬、特に上対馬の各地の情報を整理されていました。
対馬には大昔からカワウソが生息しており「ツシマカワウソ」として親しまれていました。2017年発見のカワウソは糞のDNAから「ユーラシアカワウソ」と判定されましたが、本州の「二ホンカワウソ」も「ユーラシアカワウソ」の一種であり地元で親しまれてきた「ツシマカワウソ」がもともと「ユーラシアカワウソ」であってもおかしくありません。
山村さんは最期まで
2017年に撮影したカワウソは「ツシマカワウソ」であり、今も生き残っているのだと信じていました。私も対馬には「ツシマカワウソ」が生息していて大陸からのカワウソと交雑があったものと考えていて、お互い議論をしたことが懐かしいです。
パンをかじりながらヤマネコ保護区を見渡せる丘で、過去の未来の対馬の日本の自然をもっと語りたかったです。
今は空から皆さんの活動を心配しながら見られていることでしょう。
私はこれからも山村さんに叱咤されながら、対馬におけるカワウソ調査を続けていきます。
山村さん、心から哀悼の意を表します。
カワウソ研究会 共同代表 前田直樹


