〈対馬調査報告2021 夏〉ツシマヒラタクワガタを求めて 3日間の旅

                                                    文:空冷マニア 井倉将都 (Masato Ikura)

カワウソ調査報告 概要
調査期間
:2021年7月20日~7月22日
調査場所:長崎県対馬
調査メンバー
熊谷さとし(カワウソ研究会)
前田直樹(カワウソ研究会)
豊島博昭(獣医師 愛知県開業)
井倉将都(獣医師 愛知県開業)
※昆虫、特に甲虫類をこよなく愛し、
対馬にも珍しい昆虫を探索するため同行

調査内容:
[7月20日]
東京、名古屋から対馬空港にて合流 レンタカーにて豊玉町~志多留~中山~佐護 佐護にて山村氏と合流しツシマヤマネコ観察 井口浜~比田勝 泊り
[7月21日]
比田勝~舟志~泉~豊~鰐浦~佐須奈~佐護 2日目のツシマヤマネコ観察 佐護~比田勝 泊り
[7月22日]
比田勝~厳原~久和~浅藻~豆酘~佐須川~小茂田~今里 対馬空港から帰路に

調査旅行 レポート

私自身は野生動物調査の初心者ですが、機会あってカワウソの対馬調査に同行し、多少ですがお手伝いさせてもらいました。主な目的はカワウソの生息に適した環境を見つけ、足跡糞などの痕跡探したり、今年3月に設置したカメラメモリを回収することです。今回それに加え、私のもう一つの目的はツシマヒラタクワガタを探すことです。梅雨明けの7月はクワガタのベストシーズンです。

ツシマヒラタは対馬の固有種であり、本土ヒラタと比較するとアゴが長いのが特徴で、体長80mmを超える日本最長のクワガタです。天然個体の最大記録はオオクワガタでも及びません(ツシマヒラタ81.4mm、オオクワ76.6mm 参考:むし社)対馬には他にクワガタの固有種として、チョウセンヒラタクワガタとキンオニクワガタの2種が生息しています。ですが、今回は、まぁ、欲張らずツシマヒラタ 一本狙いです。
ネット情報によると、ツシマヒラタの生息数は多く、街灯下でもよく見られ、道路に転がっているらしいです。それなら夜中に街灯を回れば、簡単に発見できるだろうと、渡航前は思っておりました。そんな期待を安易に抱き、長崎経由で対馬に渡りました。

1日目/2021.07.21

1日目は沖縄付近に台風が迫ってましたが、幸い全く影響なく晴天でした。

    熊谷氏作成寄贈カワウソフィギュア(対馬空港)

対馬空港からレンタカーで北上し、まず田の浜を調査しました。
カワウソに詳しくない私から見ると、意外な場所でした。「カワウソといえば川だろう…」というのが素人考えですからね。「こんなとこ、カエルかナメクジしかいないだろう…」と、素人目ではそんな感じの場所でした。

この周囲も残念ながらツシマジカの被害で下草がほとんどありませんでした。

周辺にコナラの木が多数あったので、さっそく単独行動でクワガタ探索しました。
ところが、日照り続きの影響か樹液は枯れてる状態でした。20本に1本くらいは樹液が僅かに出てましたが、本土では樹液常連の蝶やスズメバチさえ何故か全く見かけません。虫の気配は全く無しです……僅かに樹液が出てるコナラの根元を掘ると、ようやくコクワガタのオス1匹を見つけることができました。

しかし、ここでは探し求めてるツシマヒラタに会えず…まぁ、次の場所に期待しよう。

ようやく見つけたクワガタ (コクワガタ オス) 
浅い沼地で、アメンボとイトトンボ

                      

次に、中山の渓流に移動しました。
この渓流は先の場所と異なり、素人目でもカワウソが居そうな環境に見えます。こっちの方が自然が保たれてる雰囲気です。カワウソも泳ぐなら沼よりも清流がいいでしょう。ここに定点カメラを設置しました。

野生動物調査では時に川に入ることも、ウエーダー着用
 (編注)カワウソ研究会のTシャツ着てくださってます!

カメラは樹木に固定しますが、カメラアングルのベストポジションを見つけても、そこに固定する木が無ければどうにもなりません。設置場所を決めるのは、意外と時間と手間がかかる作業だと思いました。時間の制約もあり、ある程度のポジションで設置決定です。渓流のこの辺りはクワガタ生息環境は無さそうで、探索は行わず。

 

1日目最後の目的は、ツシマヤマネコ保護区でのヤマネコ観察です。ヤマネコが現れそうな時間帯まで微動出せず待ちますが、薄暗くなる前に、私は周辺でツシマヒラタ探してみました。

ツシマヤマネコ保護区に移動

       

クワガタが好むコナラやアベマキはまとまって生えてますが、直径10cmほどの細い木が多く、下草は鹿やイノシシに食い荒らされ地面は乾燥状態で、本土のクワガタ生息地とは似ても似つきません。

20分ほど回り、ようやく樹液の出たコナラの細木を1本発見。
近づきよく見ると、木の幹の小さい洞からなにやら黒い物体がっ…!更に慎重に近づいて見ると、オスのクワガタ!しかもアゴが長く、これはツシマヒラタの可能性大!!気づかれない様に、そーっと近づきます…が、しかし、手を伸ばすと、洞の奥に入ってしまい…その辺に落ちてる細い枝を使って追い出そうと試みました。ですが、どう格闘しても洞から取り出せず…断念…

  

最初にクワガタを見つけたコナラの森
洞の中で身を潜めるクワガタ(ツシマヒラタか!?)

               

まぁ、仕方がない…
気を取り直して、ヤマネコ観察現場に戻り、ツシマヤマネコが現れるのを待つことにしました。4人で車の中に閉じこもり、窓を開け、じーつと無言で森を見つめる……
何の変化も無く1時間半ほど経った頃、突然、ほんとに突然です。

周りを警戒しながら現れたツシマヤマネコ(幼獣)

ツシマヤマネコが警戒しながら現れました。だるまさんが転んだ状態の動きで近づく感じです。
来たのは若いヤマネコでした。ヤマネコだから厳ついかと思ってましたが、意外と可愛い顔をしてます。何か咥えると、今度は近づく時とは逆に、とび跳ねながら素早く去って行きました。その場では食べないんですね。もう一度来るのを待ちましたが、その後は現れず…暗くなると帰路が危険なので、待ち伏せ観察は18:15頃終了しました。(詳細は、豊島氏の「ツシマヤマネコ観察日記」にて)
こうして1日目は、定点カメラの設置とツシマヤマネコ観察、それと、ツシマヒラタ発見(たぶん)の目的を果たし、ホテルへの帰路に。

ヤマネコ保護区で足元を這う黒い虫を発見。一瞬クワガタか!?と思いましたが…
ヒラタシデムシ。
動物の死体を食べる虫。森の葬儀屋さん。対馬では鹿の白骨遺体を良く見かけました。こういう死虫のお食事が豊富なのでしょう。


帰路の途中 「島めし家 北斗」に寄り、夕食にアナゴフライと にゅう麺を頂きました。

ヒレカツの如く分厚いアナゴフライ

ここのアナゴは異常に分厚く、「あれ?ヒレカツ注文した??」と勘違いするほどです。こんなの本土では食べたことありません。普段は焼きアナゴか煮アナゴを寿司ネタで頂くしかありませんし。これだけ厚みがあるとアナゴが衣に負けませんね。味は、アジフライあたりとは全く違います。似た様な魚、例えばウナギとも違います、ハモに似た味かもしれません。いや、どっちか言ったら巨大なキスって感じかもしれません。キスを3枚ぐらい合わせて揚げた感じの食感でしょうか。味は脂っこくなくさっぱりしてます。もちろんとても美味しかったです。

椎茸出汁が効いたにゅう麺

にゅう麺は椎茸の出汁がすごく効いており、薄味で椎茸の風味だけで食ってみろ!という料理人の自信の現れを感じますよ。これも本土には無いにゅう麺の味だと思います。この日は朝昼ろくなものを食べてないせいもあり、より一層美味しかったです。


夕食を終え、比田勝の東横インに戻り、回収したカメラメモリを確認しましたが、写っていたのは、鹿、イノシシ、テン、カラス、トビ、サギ等です。残念ながらカワウソは…メモリ内に無し….兎に角、鹿と猪が馬鹿みたいに多いです。しかし、馬は写ってません……

2日目/2021.07.22

翌2日目は薄曇りでした。
今日最初の作業は、舟志のカメラメモリ回収と電池交換。カメラは海岸から川を遡上するカワウソ狙いです。カワウソが海岸にいるなんて思ってもみませんでした。ここでも「カワウソと言えば川だろ…」と。
「こんなとこ、カニかナマコしかいないだろう・・・」素人目ではそんな感じの場所です。しかし、砂浜でのカワウソの足跡の発見情報がわりとあるそうです。砂地を歩いてみると、意外と獣の足跡があり、ヤマネコ、テン、鹿が夜歩いているようです。なるほど、砂地は足跡がはっきり残りやすいので、調査するには良い場所なんですね。

浜で見つけた巨大ナマコ
砂浜で動物の足跡。足のサイズ、歩幅を測定。

その後、豊町の海岸辺りに移動し、カワウソが好みそうな流れ込みがないか散策しました。
私はここでまたツシマヒラタ探索です。2日目を逃すと後がありません。気合いを入れてと言いたいとこですが、一眼見て、この辺はあまり居そうにない山肌です……あくまでカワウソ調査のついでなので仕方ありません、クワガタ優先で場所は選べません。カワウソより ツシマヒラタだろっ!なんて叫んだら喧嘩になりますw 1対3なので勝てません。同行させて貰ってるだけで感謝しないとw

       

2日目にツシマヒラタを探索した山
所々太い木もありますが…

まぁ、大して期待せず、浜近くの山の遊歩道を歩くと、コナラや柏がまとまって生えている場所がありました。
まずノギリクワガタの頭2つ発見w根元から樹液が出てるコナラがあり、ふと見ると……
クワガタのアゴが出てる!しかもデカい、ライトを当てて覗くと、間違えなくツシマヒラタ!!しかし、手を伸ばすと、またまた奥に潜ってしまいました。昨日に続き戦略無く、同じミス、また断念……

ノコギリクワガタの頭部が見つかる

こういう時、本土のヒラタならもっと簡単に捕獲可能ですが、昨日見つけたクワガタも、ツシマの奴らはなかなか堅牢な住居に潜んでいます。 対馬でツシマヒラタ捕まえるには、穴から穿り出す道具は必需品ですね。更にその先、しばらく遊歩道を進み周辺を探しました。するとツシマヒラタのご遺体(頭部)発見……他にも必ずいる…そう確信しました。

山梨辺りによくある台場木を見つけましたが、何も居ない
落ちていたツシマヒラタの頭部

                             

樹液が出てる太い木もありましたが9割は細いコナラ

しかし、辺りを汗だくで探しても、何もいない… いそうでいない… 全くいない…
樹液が派手に出てる木を見つけましたが、カナブン1匹とスズメバチ1匹のみ…カブトムシすらいない…樹液がたくさん出ていても、洞が無いと奴らは居ないのでしょうか?それとも、人が入りやすい遊歩道なので、先に誰かが捕まえたのかもしれません、まぁクワガタ採集ではよくあることです。
残念ですが、今後の予定もあり時間がないので、引き返すことにしました。タイムオーバー… もはや、半ば敗戦ムードです…… 

しかし、やはり未練があります…
帰りにもう一度、先程ツシマヒラタを発見したコナラの前を通ってみると、奴はまた見える場所に出てきてました。やっぱり、これを逃すともうチャンスは無いかも…なんとか捕獲しようと考え直し…で、お二人の協力を得て再チャレンジ。今度は掻き出し用の針金棒 (持参してることを思い出した(爆w)) を利用ししました。服は土まみれ、洞に突っ込んだ手は傷まみれ、顔は汗まみれ、格闘10分ついに念願のツシマヒラタを捕獲!!

洞から頭を出すツシマヒラタ。
そんな写真撮ってる場合ではないw

初めて見る野生のツシマヒラタ!しかも結構デカい!!測定すると…72mm!!
70mmオーバーとなると、ミヤマ、ノコギリ、天然オオクワならば大型クラスです。ですが、ツシマヒラタはアゴの長さで体長を稼いでいるため、少しインチキ感はあります。もし同サイズのオオクワとか、本土ヒラタクワガタなら、もっと重厚感があり遥かにデカく見えます。まぁ、しかし、本土の人間からすれば希少価値は、本土ヒラタよりツシマヒラタですね。何しろ本土には生息してないので。ツシマヒラタだったら、例え50mmでも嬉しいですね。

    

格闘10分、漸く洞から摘出…
わりとデカイ!!

こんな枯れた山でツシマヒラタに巡り会えるとは、微塵も思ってもませんでした。
何しろ細い木が多く、山肌は乾燥しており、下草があまりないのです。おまけに直ぐ近くが海なので、たぶん海風に晒されてる様です。こんな潮地獄みたいな山にクワガタがいるわけがない… 最初はそう思いながら探してました。私のクワガタ生息地のイメージは、太い木があり下草が生えていて、土は湿っており、周辺の空気が蒸れてるという環境です。もちろん、それ以外の場所でも捕まえた経験はありますが、この様な海風に晒された場所は初めてでした。
「こんな場所に絶対いないだろう…」それは固定概念でした。今後のクワガタ探しの勉強になりました。

これからは本土でも固定概念を捨て探してみます。そうすれば、意外とオオクワも見つかるかもしれません。 

  

72mmでもデカイ!80オーバーだとどんな化け物なのか!?

                

苦労して捕獲したツシマヒラタですが、
撮影と計測後にリリース

ひとり感動に浸りながらw、その後はまた昨日訪れたヤマネコ保護区へ。
こうなったらツシマヒラタをもう1匹。欲が出ました。そこで、前日ツシマヒラタらしき個体を発見したコナラを再び探りました。すると、昨日は見かけなかったメスが洞から出てきてるではありませんかっ!2m位まで近づくと、そのメスは急いで洞の中に入ってしまいました。ヤマネコの如く逃げ足速いです。洞を覗くと、やはりオスが潜んでました。昨日見たオスです。クワガタは夫婦でいることが多いのです。特にオオクワとかヒラタは夫婦仲良しです。しかし、東南アジアに生息するスマトラヒラタとか、ツシマヒラタによく似たパラワンヒラタのオスは極めて凶暴でDV夫です。飼育するとメスは必ずオスにバラバラにされてしまいます。自然界でもDVなんでしょうかね?まぁ、その点、日本のクワガタはメスに対して優しいと思います。

樹液が出てる木は殆ど無い…

話それましたが……
そのツシマヒラタらしきオスはアゴが邪魔になり、メスの様に直ぐに回転できず、逃げようともじもじしておりました。そこで、昨日の敗因を考え、作戦を立てました。まず落ちている細い枯れ枝を使い、僅かな隙間から避難ルートの穴を塞ぎ、オスが逃げられない様にして、ツシマヒラタの捕獲の時に使ったフック状の棒で追い出しました。狙い通り作戦は成功。出てきたクワガタを見ますと…ツシマヒラタかと思ってたら、なんとチョウセンヒラタでした。捕獲して手元でしっかり確認すると、アゴはツシマヒラタほど長く無く、全体的にとても光沢があります。ツシマヒラタに続き、幸運にも対馬固有種チョウセンヒラタまで捕まえることができたのです。

捕獲したチョウセンヒラタクワガタ

チョウセンヒラタはツシマヒラタより生息数が少ないらしいです。50mmを超えると大型クラスのようですが、この個体は計測しませんでした。恐らく50mmは超えていたので、しつかり測定すべきだった…ノギスはホテルに…捕獲後、即リリースでした。

メスは捕獲できず、オスのチョウセンヒラタ

これまでに見つけたクワガタは

ツシマヒラタ:オス1
■チョウセンヒラタ:オス1

 (メス1※捕獲できず)
■コクワ:オス1

本土ならもっと見つけてるはず…意外と見つからない…あとは夜の街灯回りに期待。                 

このチョウセンヒラタを確認した場所も細いコナラの森です。
鹿や猪の食害で下草は殆どなくなり、一見クワガタがいそうな環境ではありません。ツシマヤマネコを見に来なければ、わざわざクワガタを探しに行く場所ではありません。クワガタ採取目的なら車で素通りといった環境です。ツシマヒラタと同じく意外な場所でチョウセンヒラタを見つけたのです。

チョウセンヒラタを捕獲したコナラ
 ツシマヒラタ(左)と チョウセンヒラタ(右)

お陰様で、私の目的は2日目で達成でき、しかも主目的のツシマヒラタに続きチョウセンヒラタまで見つかり、更に人生初のツシマヤマネコ目撃、もうこの時点で今回の対馬旅は大満足です。役満上がりって感じですw

 

川を下る前田氏が途中で川原に転がってるカブトムシを発見。
対馬にはカブトムシが転がるほどいるという情報だったが…結局、3日間で見つけたカブトムシはこのメス1匹のみ。確かに転がってはいたが…。時期が早いのか、場所が悪かったのか…


こうしてますます一人感動に浸りながらw、昼ごはんは対馬料理「ろくべい」をいただきました(私は違うものを食べたので味は分かりませんw)
夕飯は18:30時頃、東横インに戻り、ホテルの無料カレーを頂きました。無料でも手作りで美味しいですし、おかわり自由です。

昼ごはんに「ろくべい」を頂く前田氏、いきなりこぼしてる…

無料なのでおかわりを食べる前田氏…w

夕食後は前田君と2人で車に乗り、昆虫目的で街灯を回りました。
クワガタだけでなく、さぞ色んな昆虫が光に飛んできてると期待しながら。ネット情報もそうでしたし。

最近はLEDの街灯が多いですが、虫はLEDにはほとんど飛んできません。虫にはLEDの光が見えないらしいです。水銀灯や蛍光灯を見つけ、車を止め、何度も街灯の周辺を探しましたが…何もいない…クワガタどころか、蛾、カゲロウすらいません…期待とは大違い、本土より虫がいないくらいです。天候も良いし、温度も最適、風も無く…なのに、何故こんなに何もいないのか謎です。3時間ほど回り、結局クワガタはコクワのメス1匹だけでした。

しかし、クワガタ以外の対馬の固有種を前田君が見つけました。(よく見つけた!w)ヒメダイコクコガネです。6匹、何故か殆ど死んでましたが…謎です。それと本土でクワガタ探してると、よく間違えて捕まえるオオゴキブリw

前田氏が見つけた対馬固有種 ヒメダイコクコガネ
オオゴキブリ

まぁ、ヒメダイコクは別として…
対馬で一番期待していたのが街灯採集でしたから、この結果にはガッカリでした。ですが、昼にツシマヒラタとチョウセンヒラタを見つけていたので、案外あっさり諦めがつきました。今後、対馬では街灯回りはもう二度としないと……まぁ、これもある意味成果でしょう。ネット情報はあまり当てにならない…まぁ、この文もある意味ネット情報ですが。

対馬固有種ツシマフトギス
ノコギリクワガタ メス
ミヤマカミキリ

こうして街灯周りは大した成果も無く、23時頃ホテルに戻りました。ホテルの玄関で対馬の固有種ツシマフトギスがツユムシを捕食しておりました。それだけでなく、セミ、コガネムシ、ヤブキリ、ミヤマカミキリが転がっているではありませんか!おまけに、入り口の自動ドア付近でノコギリクワガタのメス発見…う~ん、こ、これは車で街灯周りするより虫がたくさんいるのでは…ホテルもと暗しw

3日目/2021.07.23(最終日)

最終日3日目も曇り時々晴れ、幸い3日間天候に恵まれました。
空港に向かいがてら、下島でカワウソ調査を行いました。

近くの草むらで、コガネグモ
外来種ツマアカスズメバチの巣 こわい…

佐須川で設置したカメラメモリを回収しましたが、ここのカメラは水没した痕跡があり、残念ながらメモリは再生不能でした。
この日の水深から推測すると、とても水没しないであろう設置場所だったのに、意外と増水するもんなんですね。カメラの設置はカメラアングルだけで無く、豪雨時に水没しないか考慮しなければなりません。あとは揺れた木の枝とかにカメラのセンサーが反応しないように、周りの障害物にも注意しなければなりません。設置作業を手伝うと色々勉強になります。かと言って何の応用になるか分かりませんが…防犯カメラ設置主任とか。


対馬はあまり飲食店がありません、帰りは質素に空港でうどんを…
お土産のジャム

こうして、3日間の対馬調査では、残念ながらカワウソの足跡糞なのどの痕跡は発見できず。
回収した全てのメモリにもカワウソらしき動物は確認できず。
しかし、カワウソ調査はこのように川や海岸で足跡や糞の痕跡探索など、地味な作業を繰り返すしかないというのが私の感想でした。クワガタのように目視でカワウソを見つけるのは難しいでしょうね。

今回の対馬で私のクワガタ生息地の固定概念は覆されました。
ひょっとしたら、カワウソもこんなとこに居ないだろうという場所にいるのかもしれませんね。そもそも、ニホンカワウソは絶滅したという固定概念が間違ってましたし。もう日本に居ないと…。まぁ、ツシマヒラタとカワウソを同系列で考えるには無理があるかもしれませんが。

次回の目標は対馬の固有種キンオニクワガタです。キンオニを探すついでにカワウソが見つかるといいですね。あっ、逆かっ!あくまで目標はカワウソです。

ー終わりー

帰りに途中で寄った島内のホームセンターで、ツシマヒラタが販売されていた、というオチ…(もちろん野生固体を捕獲したのは嬉しいです)しかも、対馬でもオオクワの方がスター扱いw 島民の方にとってはツシマヒラタは普通種か…w ひょっとして、対馬のカワウソも昔から島民にとっては普通動物だったのかも…w

調査旅行に同行した豊島さんの調査報告も合わせてお読みください!↓

ツシマヤマネコ観察日記